課題図書レビュー

 10月19日に確認テストを実施した課題図書の生徒レビューをご紹介します。



恩田陸『ユージニア』(角川文庫)

この本は最後まで真犯人が不明瞭になっており、もやもやが残る、スッキリしないと感じる人もいるかも知れません。しかしその点に関しては本誌に登場する『忘れられた祝祭』と同じ構造を取っており、恩田陸の作品の作り方のうまさを感じられるところです。話の流れに関しても、次々と事件に関しての情報が出てくる反面、ずっと霧に巻かれたような不透明さがつきまといます。そんな「奇妙さ」「不思議な感じ」がこの本の最大の魅力だと思います。





杉井光『世界でいちばん透きとおった物語』(新潮文庫)

『世界でいちばん透きとおった物語』は、主人公が父親である大御所ミステリ作家の遺作である『世界でいちばん透きとおった物語』を探すという実体化型のミステリー小説です。本作は、紙書籍特有の「前後のページの文字が透けて見える」特徴に着目した小説となっています。全ての見開きのレイアウトを左右対称形にするという非現実的な形式でありながらも不自然な点がない文章の完成度の高さには圧倒されました。鍵となる主人公のコントラスト過敏症も、『魔法使いタタ』のエピソードや推協事務所での会員証の一幕で示唆されています。物語を締めくくる空欄のカギ括弧も世界観を壊さない仕掛けとなっており、美しいエンディングだと感じました。





中村安希『インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日』(集英社文庫)

中村安希さんの『インパラの朝』を読んで、世界には自分が知らない価値観や生活がたくさんあるのだと感じた。この本では、著者がアフリカやアジアなどを旅し、さまざまな人々と出会う中で感じたことが描かれている。特に、国や文化が違えば、当たり前だと思っていることも大きく異なるという点が印象に残った。普段の生活では、自分の身近な環境だけを基準に考えてしまいがちだが、異なる文化に触れることで、新しい考え方を知ることができるのだと思う。この本を通して、自分の価値観だけで物事を判断せず、さまざまな人の考え方を理解しようとする姿勢が大切だと感じた。


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