課題図書レビュー

課題図書レビュー(夏休み範囲)のご紹介です。




宮沢賢治『銀河鉄道の夜』(ハルキ文庫)

私が「銀河鉄道の夜」を読んだのは今回で3度目だ。何度読んでも他の本と比べて理解が難しいと感じる。独特の世界観と聞き慣れない語彙が相まって、読むことにさえ苦労した。一方で、辞書を片手に読み進めると、宮沢賢治の情景描写に感動できた。特に、「とうもろこしの木」の描写が好きだ。私にとってはただの植物で、言語化しようと思ったことさえなかったのに、宮沢賢治はとうもろこしの粒を真珠に見立て、苞から赤い毛を吐く姿を動物のように描写した。幻想的な銀河の世界だけでなく、身近なものまで独自の視点で描き出す「銀河鉄道の夜」は、読むたびに新たな発見がある作品だ。




江国香織『すいかの匂い』(新潮文庫)

「インコって、いったん逃げたら戻ってこないんだって。逃げ出した者同士で、共同体をつくって暮らしているんだって」(中略)「人間にも、そういう場所があるといいのにね」、これは落とし穴に落ちてしまった主人公に蕗子さんが唐突に発した言葉だ。そのあとの落とし穴を掘ろうという提案とは全く関係のない文章だが、その前までなげやりな口調だった蕗子さんの心からの本音が見えた気がして印象に残っている。また、同じ夏休みという時間でも、一人ひとり異なる忘れられないものがあると改めて感じた。





中央大学経済学部/編『やっぱり経済学はおもしろい! 高校の勉強ってどう役立つの?』(中央大学出版部)

私は経済学というものを全く知らなかったが、この本を通じて今の社会における経済学の重要性を学べたと感じた。SNSやSDGsなど私たちの身近にあるものを例にしていたため経済学を身近に感じられた。特に経済学的な視点から考えることで、今までとは違う他の答えを見つけられることが印象に残った。ある物事に対する答えが視点によって変わることから、「経済学では答えが一つではない」ということにこの学問の面白さを感じた。さらに、高校で勉強しているさまざまな教科の内容も経済学につなげられることに驚いた。この本を読んで、これからは勉強した知識を他のことにも結び付けられるようにしたいと感じた。




津村記久子『水車小屋のネネ』(毎日文庫)

この本は8歳の律と18歳の理佐の姉妹を中心とした40年間を描いた物語である。私は、姉妹が40年の間に様々な心優しい人達と出会い、ときには別れを経験しながら成長していく姿に感動した。周囲の人々が押し付けるのではなく、姉妹を見守り、必要なときには助けてくれるような優しさが感じられて、読んでいて温かい気持ちになった。また、どんなときでも場を和ませてくれるヨウムのネネがとても可愛く、この作品にはなくてはならない存在だと思った。




小川哲『君のクイズ』(朝日文庫)

印象に残ったのは、決勝戦で対戦相手が問題文の読み上げが始まる前にボタンを押して正解してしまう場面です。読んでいるこちらまで「え、なぜ?」と混乱に引き込まれる導入で、一気に物語に飲み込まれました。

もう一つ心に残ったのは、主人公が謎を解く過程で語る、クイズは知識の量を競うものではなく「問題を作った人の意図を読む競技」なのだという考え方です。この視点の転換が印象的で、答えを知っているかどうかより、なぜその問題がその形で出題されたのかを考える姿勢に、日常の物事の捉え方にも通じるものを感じました。


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